759特許と被疑侵害デバイスについての補足説明

 

[本件判決原文の第7頁「B」以降の759特許発明の説明部分の試訳]

 

              '759 特許は、コンピュータプロセッサなどの少なくとも2つのデバイスが、さまざまな周波数(クロック速度)で動作できるバスに接続されたシステムについて記載しています。 デバイスの1つは、その作業量(workload:たとえば、より高速な動作の必要性など)に基づいて、クロックコントローラーにクロック周波数を変更するように要求します。コントローラは、バスおよびバスに接続された第2のデバイスの速度を制御するためにクロック周波数を出力することによって応答するようにプログラムされています。下のFig.1は、’759 特許発明のシステムの実施例を示しています。

 

[759特許の図1]

[上記図1の構成の概要説明(判決原文より抜粋、試訳)]

 図1では、マスタ装置120はバス102に接続されています。プログラマブルクロックコントローラ150は、クロック152を制御して、バス102、またはマスタデバイス122を含むバスに接続されたデバイスの周波数を設定することができます。マスターデバイス120は、例えば、デバイス性能の所望の向上に応答して、コントローラにトリガ入力を提供することができる。また、コントローラはトリガ入力を受信し、バスまたは第2のマスタデバイス122のクロック周波数を調整することができます。

 

 

 

[759特許の代表的独立請求項(クレーム14)]

 

              14.可変クロック周波数で動作可能なバス;

              前記バスに結合された第1のマスタデバイスであって、前記第1のマスタデバイスは、前記第1のマスタデバイスの性能の所定の変化に応答して、高速クロックのクロック周波数を変更する要求を提供するように構成され、前記性能の所定の変化は、事前定義された時間間隔内で測定された前記第1のマスタデバイス の負荷による、前記第1のマスタデバイス;および

              コンピュータプログラムが組み込まれたプログラマブルクロックコントローラを備え、前記コンピュータプログラムは、

              前記第1のマスタデバイスによって提供された前記要求を受信し;

              前記第1のマスタデバイスによって提供された前記要求の受信に応答して、前記バスに結合された第2のマスタデバイスのクロック周波数を制御するために、前記高速クロック のクロック周波数を出力として提供し、そして

              前記第1のマスタデバイスによって提供される前記要求の受信に応答して、前記高速クロックのクロック周波数を出力として提供し、前記バスの前記可変クロック周波数を制御する、システム。

 

[被疑侵害製品(Intel社製)の構成概要]

              (本件判決原文第9頁第8行から始まるパラグラフの試訳)

 VLS社による759特許侵害の申し立ての対象となっているインテル社製品は、名前に「Lake」が含まれるさまざまなインテルマイクロプロセッサです。被疑侵害製品のマイクロプロセッサは、コアとそれらのコアを接続する環状バスを備えています。VLSI社はマイクロプロセッサとその動作をここで関連するものとして説明しているため、マイクロプロセッサには電力制御ユニット(PCU)も含まれています。これは、pコードと呼ばれるソフトウェアを実行するマイクロコントローラーであり、コアおよび環状バスの周波数を制御します。この制御は、コアがその作業量(workload)を監視し、Core_Active信号を電源制御ユニットに送信するときに実行されます。その信号に基づいて、電力制御ユニット内のコア固有のPコード(Pコードの1つの「モジュール」として説明)が、より高い周波数またはより低い周波数への速度変更を計算し、その速度変更の要求を電力制御ユニット内の別のPコードソフトウェアの「モジュール」、つまり「決定命令」モジュールに提供します。決定命令モジュールは要求を受信し、環状バスまたはバス上の別のコアの周波数を変更するための信号を電力制御ユニットから出力します。