韓国特許庁、デザイン権侵害取締り強化のための「デザイン侵害取締支援団」の運営開始
近年、大型流通プラットフォームを通じた他人のデザインの模倣品の流通が増加しており、またデザイン侵害の手法も巧妙になり多様化されていますので、申告受付け方式の伝統的な捜査技法だけでは侵害を適切に取締ることが難しくなっています。特に、特定の卸・小売業者、製造業者のみがアクセスすることができる流通プラットフォームや、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通した会員制・共同購買ツールにおいては、一般人の利用が制限されており、捜査機関が侵害証拠を確保することは容易ではありませんでした。
このような常習性のある大量流通販売者によるデザイン侵害行為の増加にともない、特許庁技術デザイン特別司法警察は2024年4月1日から「デザイン侵害取締支援団」(以下「取締支援団」)の運営を本格的に開始すると明らかにしました。取締支援団は、流通市場にて一般購買者、小売業者として活動しながら、デザイン模倣品の流通の実態を常時監視するとともに、常習大量流通販売者に対する捜査連携情報を入手する等の活動を進める予定です。
デザインの模倣を効果的に予防するためには、まずはデザインを登録しておくことが最も重要になります。最近のデザイン保護法の改正(2023年12月21日施行)により、関連デザインの出願可能な期間が1年から3年に延長されました。これにより人気製品のデザインの場合、一部形態が変更された後続デザインまでデザイン権の確保が可能となり、デザイン権者は継続的にデザイン権の範囲を拡大してバリエーションのデザインを効果的に保護することができるようになり、その一群のデザインについて適正な市場競争力を確保することが可能になりました。
特許庁がデザイン権の制度を充実させるとともに、取締支援団の運営を開始してデザイン権侵害の取締りを積極的に進めることを明らかにしましたので、デザインを適切に登録しておくことで、取締支援団によりデザイン模倣品の摘発が効果的に進められることが期待されます。特に、衣料品、ファッションの分野では現実に模倣品が多く、取締支援団が最も強力に監視することを予定していますので、同分野のデザイン登録を充実させておくことは有益となると思われます。
[情報元]
Lee International / News Letter | Korea | August 29, 2024
https://www.leeinternational.com/home/bbs/board.php?bo_table=Newsletter2024_SUM&wr_id=5
[担当]深見特許事務所 藤川 順