国内裁判例・審決例レポート 2024年 第17号
「防眩フィルム」事件
(知財高判令和5年11月30日 令和4年(行ケ)第10109号)
(1) 審決取消訴訟において、明確性要件、サポート要件、実施可能要件に関する判断の誤りが争点となった事例(本稿では、実施可能要件に関する判断のみ検討する。)。
(2) 裁判所は、複数の実施形態に係る記載その他の本件明細書の記載を併せ考えれば、実施可能要件を満たすとして、実施可能要件違反とした特許庁における取消決定の判断を覆した。
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国内裁判例・審決例レポート 2024年 第16号
「プログラム、対戦ゲームサーバ及びその制御方法」事件
(知財高判令和5年3月27日 令和4年(行ケ)第10092号)
(1) 審決取消訴訟にて、拒絶査定不服審判の審決での補正却下の適否が争点となった。
(2) 新規事項導入を理由に補正を却下した審決が、取り消されるべきものと判断された。
(3) 補正が新規事項を導入するとの判断の妥当性検討のための参考事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第15号
「表示装置」事件
(知財高判令和5年11月14日 令和4年(行ケ)第10113号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、引用発明に技術常識を組み合わせることについて阻害要因がないから、本件発明は、引用文献1及び技術常識に基づいて容易にし得たと判断した(特許庁審決の判断を支持)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第14号
「バリア性積層体、該バリア性積層体を備えるヒートシール性積層体および該ヒートシール性積層体を備える包装容器」事件
(知財高判令和6年4月22日 令和5年(行ケ)第10091号)
(1)取消決定に対する不服申立てにおいて、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)取消事由1(甲3を主引例とする進歩性の判断の誤り)について、複数の相違点を一体的に検討すべきであると認定し、主引例と副引例との技術分野ないし用途の相違を考慮した上で、主引例に副引例を適用する動機付けがないと判断した(異議申立てにおける特許庁の取消決定を取消し)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第13号
「VENTURE」事件
(知財高判令和5年11月30日 令和5年(行ケ)第10063号)
(1)引用商標に係る分離観察の可否及び要部認定が争点となった拒絶審決取消訴訟事例。
(2)引用商標に係る分離観察を是とする一方、特許庁審判部の要部認定方法を否として、商標非類似(商標法第4条第1項第11号に該当しない)と結論づけた。
(3)特徴的な要部認定方法を提示した一例として参考になり得る事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第12号
「ワイヤレススカッフプレート」事件
(知財高判令和5年12月21日 令和5年(行ケ)第10016号)
(1)図面の記載に基づく訂正の可否が1つの争点となった事例。
(2)裁判所は、本件特許の図面には、本件訂正の根拠として十分な内容が図示されているとして、訂正は適法であると判断した(特許庁審決の判断を支持)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第11号
「噴射製品および噴射方法」事件
(知財高判令和6年3月26日 令和5年(行ケ)第10057号)
(1)審決取消訴訟において、実施例補充型の国内優先権主張出願(後の出願)における優先権主張の効果の認否が争点となった事例。
(2)裁判所は、後の出願の請求項に係る発明は先の出願の明細書等の記載との関係において「実施可能」であるとして優先権主張の効果を認めた(特許庁審決の判断を支持)。
(3)本レポートは、優先権主張の効果認否の判断基礎となる上記「実施可能」に焦点を当てる。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第10号
「フードコンテナ(発明者AIダバス)」事件
(東京地裁判令和6年5月16日 令和5年(行ウ)第5001号)
(1)特許法にいう「発明」は、自然人によるものに限られるか否かが争点とされた事例。
(2)裁判所は、特許法に規定する「発明者」は「自然人」に限られるので原処分庁による本件出願の却下処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第9号
「セレコキシブ組成物」事件
(知財高判令和6年3月18日 令和4年(行ケ)第10127号)
(1)訂正請求を経てなされた無効不成立の審決の取消訴訟において、訂正後の発明の明確性要件が争点となった事例。
(2)裁判所は、訂正により特許請求の範囲に加えられた発明特定事項(プロダクト・バイ・プロセスクレーム)が明確性要件に適合しないとして審決を取り消した(特許庁審決の判断を不支持)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第8号
「2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」事件
(知財高判令和5年10月5日 令和4年(行ケ)第10125号)
(1)審決取消訴訟において、「除くクレーム」とする訂正の適否が争点となった事例。
(2)本件訂正における「除くクレーム」が新規事項の追加に該当しないと判断した(特許庁審決の判断を否定)。
(3)「除くクレーム」が新規事項の追加になるか否かを判断する際の参考になる事例。
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