国内裁判例レポートアーカイブ
国内裁判例レポート 2023年 第33号
「簡易蝶ネクタイ」事件
(知財高判令和2年3月19日 令和元年(行ケ)第10097号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、引用発明1と甲4発明とは、発明の課題や作用・機能が大きく異なるから、甲4に記載された構成の一部のみを取り出し、これを引用発明1の一部の形状として採用することは、当業者が容易に想到できたものであるとは認め難く、むしろ阻害要因があるといえると判断した(特許庁の審決を取消)。
国内裁判例レポート 2023年 第32号
「非水系塗料用の粉末状揺変性付与剤」事件
(知財高判令和5年8月10日 令和4年(行ケ)第10115号)
(1)特許取消決定取消訴訟において、訂正の適否が争点となった事例。
(2)本件訂正は、誤記の訂正を目的とするものではないと判断した(特許庁取消決定の判断を肯定)。
(3)誤記の訂正に該当するか否かを判断する際の参考事例。
国内裁判例レポート 2023年 第31号
「熟成鰻」事件
(知財高判令和5年8月31日 令和5年(行ケ)第10029号)
(1)審決取消訴訟において、出願商標「熟成鰻」(「本願商標」)の①識別力の有無及び②役務の質の誤認のおそれの有無が争点となった事例。
(2)本願商標は①識別力が無く、②役務の質の誤認を生ずるおそれがあると結論づけた(特許庁審判部の判断を支持)。
(3)既成書体の文字のみからなる商標でない商標について、その意味合いと態様とから識別力の有無を判断する際の参考事例。
国内裁判例レポート 2023年 第30号
「防眩フィルム」事件
(知財高判令和5年3月27日 令和4年(行ケ)第10029号)
(1)特許取消決定取消請求訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、副引用例(引用例2)を正しく認定すると、副引例に記載された事項を主引例(引用例1)に適用しても、本件発明に想到できないと判断した(特許庁の特許取消決定を取消)。
国内裁判例レポート 2023年 第29号
「噴射製品」事件
(知財高判令和4年8月4日 令和3年(行ケ)第10090号)
(1)審決取消訴訟において、訂正の目的に関する判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、訂正事項は、訂正前の請求項の構成によって奏される作用効果を記載したにすぎないものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認めることはできないと判断した(特許庁審決を取消)。
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国内裁判例レポート 2023年 第28号
「美容器」事件
(知財高判令和2年1月27日 令和元年(行ケ)第10090号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、甲1発明に甲2技術事項を適用して、甲1発明を相違点1~3に係る構成を有するものとすることはできないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。
国内裁判例レポート 2023年 第27号
「平底幅広浚渫用グラブバケット」事件
(知財高判令和2年6月11日 令和元年(行ケ)第10077号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)原告は、相違点6が実質的な相違点ではないと主張したが、裁判所は、相違点6は実質的な相違点であり、かつ引用発明に基づいて容易に想到できたとはいえないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。
国内裁判例レポート 2023年 第26号
「エルデカルシトール前腕部骨折抑制医薬用途発明」事件
(知財高判令和4年12月13日 令和3年(行ケ)第10066号)
(知財高判令和4年12月13日 令和4年(ネ)第10065号)
(1)審決取消訴訟、特許権侵害差止等請求控訴事件において、医薬用途発明の新規性が争点となった事例。
(2)「技術常識」に基づく当業者の認識によれば各相違点は実質的な相違点とはいえないとして、新規性を否定した(特許庁審決の判断を支持)(控訴人の請求を棄却)。
国内裁判例レポート 2023年 第25号
「水分制御装置」事件
(知財高判令和5年2月16日 令和4年(行ケ)第10052号)
(1)審決取消訴訟において、審判請求時の補正を却下したことに関する手続違反が争点となった事例。
(2)裁判所は、本件補正が独立特許要件に違反するとした本件審決の判断に誤りがないと判断した上で、引例3に基づく進歩性欠如を理由とする本件拒絶査定と、引例3及び技術常識を示す文献(甲2文献乃至甲5文献)に基づく進歩性欠如を理由とする本件審決とは、理由の論旨を変更するものではなく、特許法159条2項の「査定の理由とは異なる拒絶の理由を発見した場合」には該当しないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。
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