国・地域別IP情報

IP5特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラム

 IP5PPHは、5大特許庁(EPO, JPO, KIPO, SIPO, USPTO)間で速く効率的な審査を可能にする試行プログラムです。
(1)適格性
 IP5PPHでは、後続審査庁(Office of Later Examination :OLE)に提出された出願について、先行審査庁(Office of Earlier Examination :OEE)にされた関連出願に関する成果物に基づいた早期審査が可能になります。OEE出願は、国内出願または5庁が国際調査機関(ISA)または国際予備審査機関(IPEA)であるPCT国際出願です。IP5PPHの一般要件としては、以下の事項があります
1. OLE出願がOEE出願と同じ最先日(優先日または出願日)を有すること
2. OEE出願がOEEで特許可能と判断された少なくとも一つのクレームを有すること
3. 全クレームがOEEにより特許可能と判断されたクレームと十分に対応すること
4. OLE出願の実体審査が開始されていないこと
(2)試行期間
 2014/1/6~2017/1/5まで実施される予定ですが、状況によって終了または延長されます。
(3)PPHの利点
・登録率および一発登録率の向上
・ファーストアクション期間の大幅な短縮
・最終査定までの期間の大幅な短縮
・オフィスアクションの回数の減少
・権利化コストの大幅な削減
・早期権利化
(4)PPHの不利益
 PPH申請において庁費用は発生しませんが、他国の特許庁による成果物(審査結果など)の翻訳費用や必要書類の準備のための代理人費用などのコストが生じる可能性があります。またクレームを十分に対応させることにより、各国で分けて審査を行った場合に比べて全ての国においてクレームが狭くなる可能性があります。この場合には、分割出願または継続出願により上位概念のクレームを追求することができます。また申請期間が限られており、OLEの実体審査の開始前であってOEE出願の審査完了後に申請する必要があります。
(5)出願書類
1. 申請書
2. クレームの対応を示す表または宣言
3. OEE出願からのオフィスアクション又はPCT成果物の写し及びその翻訳
4. 特許可能なクレームの写しおよび該当する場合その翻訳
5. PCT成果物またはオフィスアクションで引用された非特許文献の写し

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter No.41 June 2014
[担当]深見特許事務所 山本康平