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権利範囲確認審判で進歩性を審理・判断できるか否かに関する韓国大法院判決

 韓国大法院で、「特許法または実用新案法が規定している権利範囲確認審判で特許発明または登録実用新案の進歩性可否を審理・判断できるかどうか」について、否定的な結論を示す判決がなされました(大法院2014.3.20宣告2012HU4162全員合議体判決)。
判決要旨(多数意見)は、以下のとおりです。
 特許法は、特許が一定の事由に該当する場合に別に設けた特許の無効審判手続を経て無効とすることができるように規定しているので、特許は一旦登録されると、たとえ進歩性がなく当該特許を無効とすることができる事由があっても、特許無効審判により無効にするという審決が確定されない限り、他の手続でその特許が無効であることを前提に判断することはできない。
 さらに、特許法が規定している権利範囲確認審判は、審判請求人がその請求で審判の対象にした確認対象発明が特許権の効力が及ぶ客観的な範囲に属するかどうかを確認する目的を有する手続であるため、その手続で特許発明の進歩性可否まで判断することは、特許法が権利範囲確認審判制度を設けている目的を外れ、その制度の本質に合わない。特許法が審判という同じ手続内で権利範囲確認審判とは別に特許無効審判を規定して特許発明の進歩性可否が問題となる場合、特許無効審判でこれに関して審理して進歩性が否定されれば、その特許を無効とするようにしているにもかかわらず、進歩性可否を権利範囲確認審判でまで判断できるようにすることは、本来、特許無効審判の機能に属するものを権利範囲確認審判に付与することによって、特許無効審判の機能を相当部分弱化させる恐れがあるという点でも望ましくない。従って、権利範囲確認審判では、特許発明の進歩性が否定されるという理由でその権利範囲を否定してはならない。
 但し、大法院では、特許の一部または全部が出願当時に公知公用のものである場合まで、特許請求範囲に記載されているという理由のみで権利範囲を認めて独占的・排他的な実施権を付与することはできないので、権利範囲確認審判でも特許無効の審決有無に関係なくその権利範囲を否定することができると見ているが、このような法理を、公知公用のものではなく、その技術分野で通常の知識を有する者が先行技術により容易に発明できるという理由だけで進歩性が否定される場合まで拡張することはできない。上記のような法理は、実用新案の場合にも同様に適用される。

[情報元]河 合同特許法律事務所 特許&技術レポート 2014-06
[担当]深見特許事務所 和田吉樹