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SPC に関する欧州連合裁判所判決C-130/11

 2012 年7月19 日、欧州連合裁判所(CJEU)は第二医薬用途に関する特許権についてSPC(Supplementary Protection Certificate)を認めるとの判断をしました。
 SPC とは日本の特許権存続期間延長登録制度に対応する欧州連合の制度ですが、日本の延長制度と様々な点で相違しております。従来、各国医薬当局の「最初の(医薬)承認」があったとき、医薬品の有効成分について特許権者ごとに1つのSPC のみを認めて、その後の第二医薬用途についての効能追加の承認があった場合は、既存のSPC の権利範囲が広がるだけであり、新たなSPC は認められませんでした。
(a)本事件の経過
 2006 年6月29 日にメラトニンを有効成分とする不眠症治療剤が医薬承認を受けて、不眠症治療の用途特許EP 518468 を対象特許としてSPC 申請を行ないました。しかし、2001 年に羊の繁殖の管理方法で承認を受けていたため、「最初の承認」ではないことを理由に、SPC3条(d)に基づいて英国知財庁、特許裁判所で拒絶され、控訴裁判所からCJEU に質問が付託されました。
(b)判決
 SPC の基本的な目的は、公衆の健康の継続的改善に資する医薬品の研究開発を奨励するために十分な発明の保護を行なうことである。既知医薬化合物の新規な医薬用途(第二医薬用途)についてはSPC の許可を受けることができる。そこで、用途特許で保護され、新たに医薬承認を受けた公知医薬化合物についての承認は、SPC3条(d)の「最初の承認」と認められうる。
(c)コメント
 既存医薬品について追加効能の承認を受けた場合、物質特許等について既に許可されたSPC の権利範囲が同効能にも及ぶように広がると共に、第二医薬用途特許について新たなSPC をも受けることが可能になります。

(深見特許事務所 中村敏夫)