(欧州)欧州単一特許・統一特許裁判制度に関する最近の動向
欧州単一特許・欧州統一特許裁判所(UPC:Unified Patent Court)の枠組みは、英国、ドイツ、フランスを含む13 か国がUPC 協定を批准することで施行されることとなっています。2017 年6 月28 日時点において、フランスを含む12 か国が批准していますので、英国とドイツの批准後施行されます。
2017 年6 月27 日付のUPC 準備委員会のニュースリリースでは、UPC 協定施行時期に関する見解が公表されています。
本ニュースリリースによると、UPC 協定の施行スケジュールについては、UPC 協定および暫定適用に関する議定書への批准に対する各国の進捗に依存するところ、英国では、特権及び免責に関する議定書への対応が進められており、エストニアにおいても、UPC 協定批准に必要な国内担保法が可決された状況であるとしています。
一方、ドイツでは、欧州単一特許・UPC 協定関連法案が参議院で3 月31 日に採択されていましたが、匿名の個人がUPC 協定の批准に関する法案に対して異議を申立て、裁判所が本案について判決を下すまで批准の停止を命じる暫定措置要求を提出しています。裁判所がこれをドイツ大統領に非公式に通知した結果、大統領も裁判所が本案について決定を下すまで批准手続を進めないとされています。
UPC 協定は当初、2017 年12 月から施行される予定でしたが、英国の選挙の影響等によりその開始が遅延することが予想されていました。しかし、ドイツでの異議申立によりUPC の開始の更なる遅れは避けられないものと予想されます。
UPC 準備委員会委員長は、本ニュースリリースにおいて、2017 年秋に暫定適用期間 が開始し、既存の欧州特許に対するUPC 適用除外(オプトアウト)手続の開始時期(サンライズ期間)が2018 年初頭に始まり、その後に裁判所が運営を開始することを期待していると述べています。
[情報元]UPC 準備委員会HP、JETRO デュッセルドルフHP
Venner Shipley News, May 11, 2017
[担当]深見特許事務所 勝本 一誠