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米国最高裁判決-USPTOはIPR申請された全てのクレームについて特許性の有無についての審理を行わなければならない

 米国最高裁は4月24日、USPTO長官が、IPRを開始したときには、USPTOはIPR(Inter Partes Review)申請された全てのクレームについて特許性の有無についての審理を行わなければならないとの判断を賛成5名、反対4名で下した。
 SAS社は、ComplementSoft社の特許に含まれる16個のクレーム全てについてIPRを申請した。USPTP長官は、申請書において異議が唱えられたクレームの少なくとも1つについて申請者が勝利をおさめるであろうという「合理的可能性(reasonable likelihood)がある」と判断し、USPTOは、16個のクレームのうち一部のクレームについてIPRを開始した。
 SAS社は、IPR申請した一部のクレームについてしか審理されなかったことについてCAFCに控訴した。SAS社は、米国特許法第318条(a)は、IPR手続において、PTABは異議が唱えられた全てのクレームについて判断することを要求していると主張したが、CAFCは、この主張を拒絶した。これを不服としたSAS社は、最高裁に上告した。最高裁は、USPTOは、異議が唱えられた全てのクレームについて判断しなければならないと判示した。
 この判決は、USPTOによる米国特許法第318条(a)のこれまでの解釈を覆すものであるとともに、IPRを利用する戦略に広範囲な影響を与えるものである。

[情報元]Greenblum & Bernstein, P.L.C. CLIENT ADVISORY April 25, 2018
[担当]深見特許事務所 西川 信行