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特許発明実施状況報告書式の改訂に向けて

 インドにおいては、全ての特許権者およびライセンシーは特許発明のインド国内での商業的規模での実施に関する詳細を(Form 27と呼ばれる書式で)提出することが義務付けられています。また、特許発明を実施していない場合にはその理由を提出することが義務付けられています。
 このユニークな要件に関しては、利害関係者の間でも意見が分かれており、出願人のほとんどと弁理士団体は、この要件は、大量の不必要な苦労を生み出し、インドに特許出願することに抑止力として働くと考えています。しかしその一方、Form 27は特許権者にチェックとバランスをもたらし、特にインドにおける生命維持に関わる重要性の分野での社会経済的および技術的開発のために公益を促進するためには必要であると考えている公益団体もあります。
 特許発明の実施状況報告を義務付ける1970年インド特許法146条(2)の厳守を求める請願書が2015年に知財政治活動家によってデリー高等裁判所に提出され、2015年9月1日にデリー高等裁判所によって承認されました。
 この件についての2018年3月15日のヒアリングで、インド特許庁の代表者は、この要件に関する全ての利害関係者からコメントを募集することにより協議プロセスを開始した旨をデリー高等裁判所に提出しました。
 インド特許庁は、特許発明実施の問題に関して、特にForm 27の書式の(もし必要であれば)改訂について、提案やフィードバックを募りました。その結果、インド特許庁は産業界から約64のコメントおよび提案を受け取りました。
 インド特許庁は、2018年4月6日にデリー特許庁において利害関係者ミーティングを開催し、技術系企業、調査機関、公益団体、弁理士の各代表が参加しました。このミーティングで、特許庁長官は、法律から当該要件を取り除くには法改正を要するので、現時点では実施状況提出の要件を排除することは不可能であると明言しました。
 このミーティングでは利害関係者から異なる主張が出されました。弁理士のほとんどと出願人企業の代表者たちはForm 27を単純化し、特許権者およびライセンシーから網羅的な情報を求めないようにすることを推奨しました。しかし、公益団体は、特許権者およびライセンシーは(特に製薬業界において)十分な情報を提供していないのだから、現行のForm 27を改訂して要件をより厳格にすべきと考えています。
 特許庁長官は、Form 27の改訂版を提供するためにさらに利害関係者を募りました。インド特許庁は、様々な提案を考慮に入れたForm 27の改訂版のドラフトを準備しようとしています。その改訂版のドラフトは、さらなるコメントを利害関係者から募るために刊行され、利害関係者との詳細な協議プロセスを経て確定されることになるでしょう。

[情報元]Kan and Krishme, April 2018
[担当]深見特許事務所 和田 吉樹