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台湾専利法施行規則の改正

 台湾専利法(※日本の特許法、実用新案法、意匠法をあわせたものに相当)の施行規則が2016年6月29日に一部改正・公布され、2016年7月1日に施行されました。このうち意匠法に関する改正を以下に説明します。
(1)意匠登録出願のプラクティス及び専利法の文義に合致するよう、意匠に係る一部の用語が修正されました。(改正条文第51条、第53条)
 具体的には、意匠登録出願のプラクティスにおいて、物品に応用されるコンピュータアイコン(icons)および図形化利用者インターフェイス(GUI)が変化する外観を有する場合は、その変化は「連続的な動態変化がある」ものに限られません。そのため、用語がより上位の概念となるよう、「変化する外観を有する」に修正されました。
(2)また、意匠登録出願の明細書の参考図面に関する規定に対しても改正が行なわれました。専利法第136条の文義に合致するよう、参考図と標記した場合、当該参考図は、意匠権の範囲とすることができないものの、適用される物品または使用環境の補充説明に用いることができるとのように改正されました。

(参考)
 参考までに、改正台湾専利法施行規則のうち上記に述べた関連条文の翻訳を添付します。なお、条文中の取消線は削除箇所を示し、下線は追加箇所を示します。
第51条)意匠の名称は、意匠が施される物品を明確に指定し、関係のない文字を付けてはならない。
物品の用途とは、意匠が施される物品の使用、機能などを補助的に説明するための記述を指す。
意匠の説明とは、意匠の形状、模様、色彩又はこれらの結合などを補助的に説明するための記述を指す。以下のいずれかの事情がある場合、その旨説明しなければならない。
1. 図面が開示する内容に意匠を主張しない部分が含まれている。
2. 物品に応用するためのコンピュータアイコン(icons)及び図形化利用者インターフェイス(GUI)に連続的な動態変化がある変化する外観を有する場合、変化の順序を説明しなければならない。
3. 各図面同士が同一、対称であるため又はその他の事由により図面を省略する場合。
以下のいずれかの事情がある場合、必要であれば、意匠の説明において簡明に説明しなければならない。
1. 材料の特性、機能調整又は使用状態の変化によって、意匠の外観に変化が生じる場合。
2. 補助図又は参考図がある場合。
3. 組物の意匠として登録出願する場合、その各構成物品の名称。
第53条)意匠の図面は、主張する意匠の外観を十分に開示することのできる図を備えなければならない。意匠が立体である場合、斜視図を含まなければならない。意匠が連続した平面である場合、ユニット図を含まなければならない。
前項にいう図は、斜視図、正面図、背面図、左側面図、右側面図、俯瞰図、底面図、平面図、ユニット図又はその他補助図とすることができる。
図面は工業製図方法を参照して、墨線図、コンピュータグラフィックス又は写真で表現し、それぞれの図面を3分の2に縮小するときにも図面の各細部を明確に認識できるようにしなければならない。
色彩を主張する場合、前項の図面にその色彩を表現しなければならない。
図面において意匠を主張する部分と意匠を主張しない部分は、明確に区別できる表示方式で表現しなければならない。
参考図と標記した場合、意匠権の範囲とすることはできないが、適用される物品または使用環境の説明の解釈に用いることはできない

[情報元]Lee and Li Newsletter: Latest Update on Taiwan Patent Practice
[担当]深見特許事務所 杉本 さち子