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特許法院、国際裁判第1号施行…外国企業の英語弁論が可能に

 特許法院で、韓国第1号の国際裁判を実施します。国際裁判を申請した外国企業は、外国語での弁論が可能となりました。
 特許法院第2部は、オーストラリアの鉄鋼会社であるブルースコープ・スチール社が特許庁を相手取り提起した拒絶査定の取消訴訟で、外国語弁論を許可したと明らかにしました。
 ブルースコープ・スチールが申請した今回の国際裁判は、被告の特許庁が同意して実施することになりました。なお、今後当該訴訟は、特許法院国際裁判部の特許3部にて進められる予定です。
 ブルースコープ・スチールは、「金属コーティングされた鋼鉄ストリップ」という発明に関して、2010年に韓国特許庁に特許出願しました。しかし、特許庁は2015年2月に「通常の技術者が容易に発明できる」として、特許申請を受け入れず、特許審判院も、ブルースコープ・スチールが特許庁の決定を不服として申し立てた審判請求を棄却しました。これにより、ブルースコープ・スチールは、特許庁を相手取り審理決定の取消を要求する訴訟を4月に提起し、国際裁判を申請しました。
 ブルースコープ・スチールの国際裁判は、2017年12月に新設された法院組織法62条2項を基にしています。2018年3月に施行された改正法院組織法は、当事者が法廷で通訳なく外国語で弁論することを許容するものですが、今はまだ英語のみ可能です。裁判部は国語主義原則に従って韓国語で訴訟を指揮して判決文も韓国語で作成しますが、円滑なコミュニケーションのために、通訳者が同時通訳し、判決文の翻訳版を提供します。
 ただし、特許法院は、国際裁判は便宜供与を超え、国外の当事者にとってより有利にはならないと釈明しました。また、「韓国の当事者に対する逆差別のおそれを払拭するために、韓国の当事者には外国語の使用を強制しない」として「判決文の翻訳版が提供され、同じ特許権に関連した訴訟が複数の国家で行われる場合、有力な参考資料となり得る」と説明しました。

[情報元]河 合同特許法律事務所 特許&技術レポート 2018-08
[担当]深見特許事務所 小寺 覚