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指定技術部門での継続出願に対するIDS手続

 USPTOが2018年11月1日に開始した関連先行技術へのアクセス指針を更新したことに鑑み、下記のような新たなIDS手続をご紹介致します。
 関連先行技術へのアクセス指針の下、USPTOは、直近の親出願から継続出願に先行技術文献情報を導入します。導入された先行技術文献情報は、継続出願から発行されるすべての特許文書の表紙に印刷され、直近の親出願からの情報を提出するために出願人が最初のIDSを再提出する必要がなくなります。
(https://www.uspto.gov/patents-getting-started/access-prior-art-project参照)

 上記のアクセス指針に含まれるためには、次の条件を満たす必要があります。
 (i) 継続出願が、単一の先行米国出願のみの120条または121条の利益によるクレームを有する111条(a)の下で出願された非再発行出願、非仮出願であって、その先行出願が111条(a)の下で出願されたか371条に従って国内段階に入った出願であり、119条の下でのみ他の出願の優先権または利益を主張すること
 (ii) 継続出願が、技術部門1616, 1731, 2131, 2431, 2675, 2879, 2922, 3635, 3753の1つに割り当てられていること
 (iii) 継続出願が、2018年11月1日以降に技術部門2131に対して出願されるか、2019年1月1日以降に8つの技術部門1616, 1731, 2431, 2675, 2879, 2922, 3635, 3753に対して出願されたこと

 USPTOが導入した上記指針の影響を受けるのは限られた数の事件にとどまると思われますが、不必要な費用を最小化するため、上記(i)を満たす各継続出願に対して次の手続をとることをご紹介致します。

 まず、継続出願の出願日から3ヶ月が過ぎる2週間前(以下、短縮3ヶ月と称す)まで、当該継続出願に対していかなるIDSも提出しません。短縮3ヶ月が来ると、継続出願が上記(ii)に示される技術部門の1つに割り当てられるかどうかを判別します。もし、継続出願が上記(ii)に示される技術部門の1つに割り当てられない場合、通常の手続に従ってIDSを提出しクライアントに報告します。もし、継続出願が上記(ii)に示される技術部門の1つに割り当てられる場合、その旨をクライアントに報告し、親出願から先行技術文献情報を導入させるために3ヶ月のIDSを提出しないことを伝えます。
 もちろんクライアントから指示のあった付加的な先行技術文献があれば、記録のためにIDSを提出します。3ヶ月のIDSを提出しないという我々の報告を受け取ったとき、USPTOの上記指針に関わらず3か月のIDSを提出すべきか、また他の付加的なIDS資料を提出すべきであれば、我々にその旨を助言できます。さもなければ、特許査定を受けるまで、親出願からの先行技術文献情報の導入に関しさらなる手続をとることはありません。同時に、継続出願を見直している間、USPTOが親出願からの先行技術文献情報を適切に導入しているか確認し、必要であればいかなる是正措置もとります。

 上述したように、USPTOが導入した上記指針の影響を受けるのは限られた数の事件にとどまると思われます。しかし、USPTOは将来さらなる技術部門に上記指針を拡張すると期待され、上述したのと同じ手続を維持していく予定です。

[情報元]Greenblum & Bernstein, March 21, 2019
[担当]深見特許事務所 紫藤 則和