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Teva判決の混合見直しによるクレーム解釈の履行

 Teva判決以降、クレーム解釈の「一から見直し(de novo review)」対「差動的見直し」の問題に対し、米国最高裁は、2015年4月20日、争点となったクレーム用語に対して「一から見直し(de novo review)」が適用されたCSR PLC v. Azure Networks事件のCAFCへの差し戻しを命じました。
 2015年1月、最高裁は、Teva v. Sandoz事件において、CAFCは内的なクレーム解釈証拠に基づいていない地裁のクレーム解釈を見直す際には「明らかな誤り」基準を一般に適用しなければならないと判示しました。
 CSR v. Azure事件では、原告のAzure Networksが、被告の商品はブルートゥース技術に関するAzureの特許を侵害するとしてCSRを訴えました。地裁は、特許で用いられた用語「MACアドレス」を解釈した後、Azure特許の非侵害によりCSR勝訴の判決を下しました。Azureは控訴し、CAFCは、分裂したパネル決定において、Teva判決のわずか2ヶ月前に地裁の解釈を覆し、Azure勝訴としました。
 CSRは、最高裁に移送命令の申立書を提出し、CAFCは「一から見直し(de novo review)」基準の下で地裁の解釈を見直しており、最高裁のTeva判決に反していると主張しました。申立書は、CAFCの「記録にない辞書」の使用を「外的証拠」であると強調し、現在では「明らかな誤り」基準に従わなければならないと主張しました。具体的には、CSRは、CAFCが「明らかな誤りを特定することなく地裁の事実認定に反した事実認定を」行なったと主張しました。
 申立書において提示された質問は、次のようなものでした。
 CAFCは、「MACアドレス」の用語の解釈において地裁による事実認定を見直す際、「明らかな誤り」基準の代わりに「一から見直し(de novo review)」基準を用いる過ちを犯したのではないか。
 最高裁は、1頁の命令書を発行し、当該事件をTeva判決を考慮してさらに検討させるためにCAFCへ差し戻しました。

[情報元]McDermott Will & Emery, IP Update, Vol.18, No.5, May 2015
[担当]深見特許事務所 紫藤則和