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EPO 改訂審査ガイドラインについて | 弁理士法人 深見特許事務所

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EPO 改訂審査ガイドラインについて

 EPO 審査ガイドラインは、施行規則の変更、EPO 拡大審決、または技術審判部の審決などの、法律上および実務上の変更点を考慮して、定期的に改訂されます。そのため、審査ガイドラインの改訂は、EPO における現在の問題点への指針と考えることができます。本稿では、2012 年6 月に施行されたEPO 審査ガイドライン改訂の概要、および欧州特許出願が具備すべき実体的な要件に係るいくつかの変更点の詳細を提供します。
 (1)審査ガイドライン改訂の概要
 新旧審査ガイドラインの最も大きな違いは、5 部構成から8 部構成への変更です。旧ガイドラインのC 部(実体審査のためのガイドライン)は、新ガイドラインにおいて、実体審査の手続(C 部)、欧州特許出願(F 部)、特許性(G 部)および補正・訂正(H部)の4部に分けられました。旧ガイドラインのD 部(異議申立および限定・取消手続)の内容の一部は、新ガイドラインのG 部またはH 部に移動されています。
(2)F 部(欧州特許出願)
 新ガイドラインのF 部には、重大な、または興味深い変更点が含まれています。
a)第II 章は、欧州特許出願の内容(クレーム以外)に関する章です。
 背景技術に関する段落4.3 には、出願の際に出願人は最も近い先行技術を引用すべきことが記載されています。背景技術の引用に係る書式についての段落4.3.1、4.3.1.1、4.3.1.2 が新たに設けられています。
 配列表に関する新たな第6 節が追加されています。特に、(公的に入手可能な)データベースに開示された配列について言及されています。
b)第III 章は、十分な開示に関する章です。
 第1 節には、(十分に開示される)「クレームされた全範囲」とは、クレームの範囲内にある実質的にすべての実施の形態と理解されるべきことが説明されています。
 新たな段落6.4 には、優先権を主張する出願の場合の生物学的材料の寄託について
 記載されており、段落6.5 には、Euro-PCT 出願について記載されています。
 「リーチ・スルー」クレームに関する新たな第9 節が追加されています。新たな種類の研究ツールを用いて発見されるであろう、単に機能的に定義された化学物質に向けられたクレームは、将来の発明に向けられたものであり、EPC の下での特許の保護はこのような発明のために立案されていないことが記載されています。
 新たな第10 節には、十分な開示と規則56 条(欠落部分の取り下げ)について記載されています。新たな第11 節には、十分な開示と明確性について、クレーム中の不明瞭な記載は、クレームの範囲全体に影響する場合にのみ、EPC83 条の拒絶理由になると説明されています。
 c)第IV 章は、クレーム(EPC84 条および方式要件)に関する章であり、多くの変更点が含まれています。
 同一カテゴリーに属する1 以上のクレームを含む出願に関する段落3.2 には、規則43 条(2)の「相互に関連する製品」および「代替的解決法」の解釈が追加されています。独立および従属クレームに関する段落3.4 には、独立クレーム中に述べられた代替案に係るクレーム、および2 つの異なるカテゴリーに属する独立クレームに従属するクレームについて、明確性欠如をもたらす場合にのみ拒絶されると言及されています。
 他のクレームの引用を含む独立クレームに関する段落3.8 には、「クレーム1の方法を実施するための装置」の形式のクレームについて、当該装置に係る(必須の)技術的特徴を特定していないために不明確であると言及されています。
 必須の特徴に関し、新たな段落4.5.1 ではEPC84 条の必須の特徴の欠如による拒絶について説明されており、段落4.5.2 では出願に関する技術的課題の解決手段に基づく技術的効果を実現するために必要なものと必須の特徴を定義しています。
 「…のための装置」「…のための方法」などに関する段落4.13 では、データ処理/コンピュータプログラム分野におけるミーンズプラスファンクションの特徴について、関連するステップ/機能を実行するために適用される手段として解釈されるべきことが確認されています。
 用途クレームに関する段落4.16 では、所定の特性を有している化学物質を選択するために特定のテスト材料を使用するスクリーニングステップとさらなる製造ステップとを組み合せたクレームについて、不明確であると言及されています。
 消極的限定(ディスクレーマー)に関する段落4.20 には、1 以上のディスクレーマーを含むクレームはEPC84 条に完全に従わなくてはならないこと、ならびに、除外された先行技術、および先行技術とディスクレーマーとの関係について明細書中に示すべきであることについて述べる新たな文が追加されています。
 広いクレームに関する新たな段落4.23 では、この種のクレームは、種々の理由(サポート要件、十分な開示、新規性、進歩性)で拒絶されることが説明されています。
 クレーム順に関する新たな段落4.24 では、多数のクレームが含まれていると最も広い概念のクレームを見落としやすく、出願人は、クレームを再配置するか、明細書中に最も広い概念の発明への注意を記載すべきであると記載されています。
 サポート不足と不十分な開示に関する段落6.5 には、EPC83 条と84 条との共通点および相違点についての新たな文が追加されています。
 d)第V 章は、発明の単一性に関する章です。
 「先天的」または「後天的」な単一性の欠如に関する段落7 には、EPC54 条(3)で引用された文献は発明の単一性の評価において無視されることが確認されています。新たな段落8.1 には、発明の単一性欠如の拒絶をどのように定めるべきかについての説明が記載されており、段落8.2 には、クレームにおいて最初に言及された発明の決定について記載されています。
 実体審査中の一般的事項に関する段落11.1 では、利用可能になったさらなる先行文献および実体審査中に発生した発明の単一性欠如について、実体審査が進んだ段階では特に、明確な場合にのみ審査官は拒絶を指摘すべきであると言及されています。
 e)第VI 章は、優先権に関する章です。
 最初の出願とみなされる後の出願に関する段落1.4.1 では、先の出願を引用した出願が、自動的に最初の出願とみなされなくならないことが確認されています。
 EPC87 条の「同一の発明」の語の意味に関する段落2.2 では、クレームおよび優先権書類が異なる数値範囲に関するものである場合には発明主題は優先権書類から直接かつ明確に引き出すことができないことが確認されています。
 (3)まとめ
 出願人の視点からは、審査ガイドラインの改訂によって反映されるような法律および実務における変更点について、常に最新情報を得ることが明らかに重要でしょう。

[情報元]Venner Shipley’s Intellectual Property Magazine Autumn/Winter 2012
[担当]深見特許事務所 村野 淳