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101条に基づく略式判決の回避

 Berkheimer事件(Berkheimer v. HP Inc., Case No. 17-1437 (Fed. Cir., Feb. 8, 2018))
 Berkheimerは、自己の特許を侵害するとして、HPを訴えました。Alice判決に基づく特許適格性の問題は、これまで法律上の問題であると考えられてきたため、特許適格性の問題は、訴え却下または略式判決などに基づいてしばしば判断されていました。このような状況において、HPは、Berkheimerが有する特許のいくつかのクレームが抽象的アイデアにすぎないため、米国特許法第101条に基づき特許非適格であるとの略式判決を地裁に申立てました。地裁は、申立を受理しました。Berkheimerは、上訴しました。
 CAFCは、クレームの構成要素、またはその組合せが、関連する技術分野の当業者に十分に理解され、日常的かつ慣習的であるかどうかの問題は事実問題であると述べました。CAFCは、Berkheimerの特許の明細書が、発明が十分に理解され、日常的かつ慣習的な活動を記載しているかどうかに関する事実問題を生み出す何かを含んでいるかどうかを調べました。CAFCは、明細書には、解析されたデータを意図的に非慣習的な方法で格納する進歩性を有する特徴が記載されていることを発見しました。さらに、明細書には、開示されたシステムが冗長性を排除し、システムの効率を改善し、必要メモリ量を削減すると言及されていました。CAFCは、クレームを分析し、Berkheimerのいくつかのクレームは、明細書に記載された非慣習的な進歩性を有する概念に関する限定を含むと判断しました。CAFCは、これらのクレームに関して略式判決を無効にしました。

 Aatrix Software事件(Aatrix Software, Inc. v. Green Shades Software, Inc., Case No. 17-1452 (Fed. Cir., Feb. 14, 2018))
 Aatrix は、自己の特許を侵害しているとしてGreen Shadesを訴えました。Green Shadesは、Aatrixが有する特許のクレームが、米国特許法第101条に基づき特許非適格であるとして、訴え却下を地裁に申立てました。地裁は、申立を受理しました。Aatrixは、上訴しました。
 Berkheimer判決から1週間以内に、CAFCは、本件に関して、地裁による特許非適格性を理由とする訴え却下の申立の受理をBerkheimer判決と同様の理由で無効としました。

 実務上の注意点
 これらのプロパテント判決は、特許権者および特許明細書作成者が、明細書およびクレームを強化するための指標として、特許権者が、訴訟において略式判決および訴え却下を避けるために、訴状に自己に有利となる事実的な主張を記載するための指標としての役割を果たします。

[情報元]McDermott Will & Emery IP Update Vol. 20, No. 10
[担当]深見特許事務所 西川 信行