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ファーウェイがサムソンに勝訴、サムソンに対して権利侵害の差止め判決

 ファーウェイがサムソンに対して提起した2件の標準必須特許侵害訴訟について、2018年1月11日深セン中級裁判所知的財産権法廷で裁判が行なわれた。裁判所は、サムソンに対してファーウェイの標準必須特許権の侵害行為を直ちに停止するよう判決を下しました。
 原告のファーウェイは、2件の特許はともに4G標準必須特許であり、被告は原告の許可なしに製造、販売、販売申出、輸入などの形で原告の特許権を侵害していると主張しました。同時に原告は被告のサムソン電子株式会社と標準必須特許のクロスライセンスの交渉を行なった際、サムソンはFRAND(公平、合理的、無差別)という原則に従わず、明らかな過失があると主張し、被告に対し対象特許の権利侵害行為を停止するよう請求しました。被告は、原告の訴訟請求を却下すべきだと反論した。被告のサムソンは、特許権侵害を行なっておらず、ファーウェイは標準必須特許ライセンスの交渉で公平、合理的、無差別の義務を果たさなかったのに対して、サムソンはライセンス交渉において明らかな過失がないと反論しました。
 本件は以下の2つの問題に関するものです。1つ目はFRAND問題あるいは標準必須特許ライセンスの合意に至らなかったのは、どちらに過失があるかです。もう1つは技術の認定の問題であり、サムソンの行為は、2つの特許権の侵害にあたるかどうかです。裁判所は、原告のファーウェイの2件の特許権はいずれも4G標準必須特許であると認定しました。裁判所は、標準必須特許クロスライセンス交渉から既に6年以上経っており、原告のファーウェイは、交渉において明らかな過失がなく、FRANDの原則(公平、合理的、無差別)に合致しているのに対して、被告のサムソンは、交渉において過程と実体において明らかな過失があり、FRANDの原則に違反していると判示しました。また裁判所は、被告が原告の許可なしに2件の特許技術を使用することは、原告の特許権を侵害していることになると判示しました。原告のファーウェイの標準必須特許のクロスライセンス問題の解決を図る為、裁判所が仲裁の場を設けたが、サムソンは、故意に交渉を延期させており、明らかな過失があり、FRANDの原則に違反しています。上記2件の特許権について、裁判所は、サムソンに対して、直ちに係争特許権の侵害を停止するよう判決を下しました。また、権利侵害判決が発効した後、双方は依然としてライセンスについての交渉を実施することができ、双方が合意に至りあるいは原告が権利侵害停止の判決を執行しないことに同意した場合、裁判所はそれを認めることとしました。ファーウェイとサムソンという大手企業間での標準必須特許権侵害をめぐる紛争は、国内外において大きな影響があります。

[情報元]上海専利商標事務所有限公司 Newsletter-SPTL-201801-JP
[担当]深見特許事務所 小田 晃寛