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Red Bull社のEUTM登録無効の判決について

 欧州連合司法裁判所の一般裁判所は、最近、十分に明確かつ正確ではないという理由で、Red Bull(以下、RB社といいます。)の色彩の組合せからなる商標について欧州連合商標(EUTM)登録2件を無効にする審決を支持しました。

・RB社の色彩の組合せ商標
 RB社は、2002年に、下記のような色彩の組合せ商標を、第32類「エネルギードリンク」を指定して出願しました。獲得された顕著性に基づく出願として進められ、審査において、RB社は「青色(RAL 5002)と銀色(RAL 9006)の色彩を主張する。色の比率は約50%:50%である。」と商標の説明を含めました。

 2010年、RB社は同一商標について2つ目のEUTM出願をしました。出願後2ヶ月以内に公表されましたが、審査官は、2色の割合と、それらの色の特定方法を示すように要求しました。RB社は、「2つの色が等しい割合で、互いに並置される。」と応え、「青色(Pantone2747C)と銀色(Pantone877C)」であることが示されて、登録手続が進められました。

・Optimum Markによる無効審判請求
 2件の登録に対し、Optimum Mark(以下、OM社といいます。)が無効審判を請求し、EUIPOは両方の登録が無効であると示しました。RB社は不服を申立てましたが、失敗に終わり、提訴しました。

・RB社とOM社の裁判
 一般裁判所は、欧州連合の商標は、出所表示機能が保証されるように、常に明確、均一かつ永続的に認識されなければならないと指摘しました。
 その点において、問題の商標が2色の様々な組合せと認められるかどうかを検討することが重要でした。
 両商標の図の説明(50:50の比で、青色と銀色の垂直に並置)は同一でしたが、付随する説明文が異なり、一方は、RALシステムに従い色彩を記述して「約50%:50%」の比率を示し、他方は、Pantone色基準系を使用して色彩が「等比で適用され、互いに並置される」とありました。
 一般裁判所は、両商標の図の説明が、形状や輪郭のない2色の並置のみで構成され、それらの色のいくつかの異なる組合せを可能にする、との審判部の判断に同意しました。また、説明文では、予め定められた統一的な方法で体系的に色彩が配置されるべきところ、多数の異なる組合せを除外するような特定配列に関して正確性の要件を具備していないとの判断にも同意しました。
 一般裁判所は、獲得された識別性の主張を支持するためにRB社が提出した証拠は、「図の説明で示された2色の垂直並置とは全く異なる」態様で使用されていることを示していることに言及し、EUTM登録に複数の色彩の組合せの可能性(事前に予め定められておらず、統一もされていない)を許すことは、まさにハイデルベルク・ボウヘミー判決が回避しようとしていたことであると確認しました。また、裁判所は、RB社の、これは、本来、色彩の組合せ商標そのものの存在及び登録性を否定することになる、という主張を却下し、出願人は保護したい対象物に正確に対応する商標の図の説明(それに限るもの)のみを提出すべきであることに言及しました。

・概略
この事件では、単一の色彩からなるか複数の色彩の組合せからなるかを問わず、色彩商標自体を登録すること、及び、登録された権利を守ることの難しさが強調されました。

[情報元]D YOUNG & CO TRADEMARK NEWSLETTER no.97
[担当]深見特許事務所 原 智典