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庁内バックログ削減のためのoffices of reference 制度導入

 ブラジル特許庁では、近年の新人審査官採用、局指令等の発行数の増加等に対応するために、決議193/2017 として”offices of reference”制度を導入しました。ここでは、PCT の国際調査機関または国際予備審査機関として活動する各機関がoffices of reference として定義されています。新制度のもとでは、offices of reference から来る特許出願についてブラジル特許庁の審査官が調査報告を作成する際には、offices of reference によってなされた調査結果を盛り込み、補充的な調査はブラジル内では全く行なわずに作成することになります。ただし、他の国内特許庁または国際機関によってなされた追加的な調査結果がある場合には、その調査結果を調査報告に盛り込むことがあり得ます。
 ただし、この扱いは、――(i)第三者から見解が提出されている場合、(ii)既にブラジル特許庁によって審査が開始されている特許出願、(iii)優先審査が許可された特許出願、(iv)審判段階における特許出願――には適用されません。
 この決議193/2017 は、2017 年6 月13 日の産業財産権官報で公布され、公布から30日以内に施行されることとされていたので、2017 年8 月の時点では既に施行されているものと思われます。出願人にとっては、自らの出願にoffices of reference 制度を適用してもらうために何らかの手続をする必要はありません。
 これまでもブラジルの審査官は、国際調査機関による調査結果に依存することがしばしばありましたが、通常、補充的な調査も行なっていました。この度、補充的な調査を原則として行なわなくなることによって、審査に要する時間の短縮になると思われます。

[情報元]Dannemann, Siemsen, Bigler & Ipanema Moreira, Circular No. 06/2017
[担当]深見特許事務所 和田 吉樹