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ソフトウェアクレームに関するEPOガイドライン

 EPOガイドラインは、審査プロセスのガイダンスのためにEPO審査官により用いられる主要な資料です。2016年11月から施行されるEPOガイドラインにおいては、形式的なクレーム要件に関する章に、コンピュータ関連発明についての新セクション(F-IV, 3.9)が追加されています。
 この新セクションは、コンピュータ関連発明において、典型的に受入れ可能なクレーム構成を成文化するものですが、異なるクレーム構成であっても場合によっては許容されると考えられます。具体的には、新ガイドラインでは、方法クレームから始まって、当該方法クレームを単に引用した他カテゴリの擬似的な独立クレーム(例えば、装置、プログラム、コンピュータ読出可能な媒体)が続く以下のようなクレーム構成を提案しています。

<クレーム1:方法>
コンピュータにより実行される方法であって、ステップA、B、・・・を含む。
<クレーム2:装置/デバイス/システム>
クレーム1の方法を実行する手段を備えるデータ処理装置/デバイス/システム。
<クレーム3:プログラム>
コンピュータによる実行時、クレーム1の方法をコンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータプログラム。
<クレーム4:コンピュータ読出可能媒体>
コンピュータによる実行時、クレーム1の方法をコンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータ読出可能媒体。

 審査官は、方法クレームから審査します。方法クレームが特許性(新規性および進歩性)を有するとされた場合、通常は他の関連クレームも特許性を有するとされます。
 このガイドラインは、長年にわたって確立されてきた実務を要約したに過ぎませんが、コンピュータ関連発明のクレームをドラフトするときに上記クレーム構成を適用することは、多くの形式的な問題を回避し、審査官の注意を基本的な技術的利点に向けさせるためには有益であると考えられます。

[情報元]Maucher Jenkins Autumn 2016
[担当]深見特許事務所 勝本 一誠