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ブラジル特許庁が特許要件のガイドラインを改定

 特許出願の審査のための新ガイドラインであるブロックII(特許要件)が、ブラジル特許庁によって最近発行されました。
 新ガイドラインは、先行技術ならびに新規性および進歩性の分析、第2用途発明、マーカッシュ形式、選択発明等の特定の事項に採用された手続の明確化など、特許要件に関するいくつかの局面を規定しています。
 (1)進歩性の評価に対し、当業者が明細書に基づいて発明の技術的効果を認識できることが現在では正式に求められます。したがって、試験結果、分析結果等の提示が推奨されます。試験結果、分析結果等は最初に開示された事項に付随するため、技術審査中にそれらの結果を提示する機会が与えられます。
 (2)公聴会に提出されたテキストでは除外されていた第2医薬用途を含む第2用途について具体的に議論されています。第2医薬用途のクレームに対し、審査は治療された病気に基づいて行なわれます。クレームがスイス型の形式でなければならないという要件は維持されています。
 (3)マーカッシュ形式がより明確でより具体的な方法で議論されています。特許庁によって現在採用されている立場は維持されており、具体的には、クレームに記載された化合物は、過度の実験なしに、異なる基が最終生成物にどのように組込まれるかを示す実施例を通じて当業者が発明を実施できるように、明細書の実施例によってサポートされなければなりません。
 (4)選択発明の特許性についても正式に認められています。この場合、出願人は、先行技術の要素/下位群/下位領域において予期せぬ技術的効果が提示されていないことを立証しなければなりません。それゆえ、選択発明と先行技術との間の比較試験という暗黙の要件が課されます。
 (5)Composition Claimがより明確でより具体的な方法で扱われており、これは有効成分の組合せを含みます。具体的には、有効成分の組合せに関し、個々の成分とそれらの組合せとの間の比較試験を提示することによって、予期せぬ技術的効果、たとえば相乗効果が立証される必要があります。
 (6)最後に、使用、管理/応用の形式および物理的な形式は、それ自体、先行技術において既に知られた合成物に対する新規性を与えるものではありません。
 上記に見られるように、特許庁は現在の審査実務を大きく変更していないため、新ガイドラインは、特許庁によって既に採用されている立場の繰返しとなっています。より限定的な点では、ある種の発明に対して試験を提示する必要性は、特許庁によって既に取入れられています。

[情報元]Dannemann Circular, September 2016
[担当]深見特許事務所 紫藤 則和