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(英国)標準必須特許のライセンスをめぐるUnwired Planet v. Huawei事件

 2018年10月23日、英国控訴院は、標準必須特許(SEP: Standard Essential Patent)のライセンスをめぐるUnwired Planet International Ltd.(以下「UP社」)とHuawei Technologies Co. Ltd.(以下「Huawei社」)との間の事件について、Huawei社の控訴を棄却しました。
 本件では、4G-LTE等の無線通信技術に関するSEPを保有するUP社が、Huawei社に対して特許侵害訴訟を提起し、これに対してHuawei社が、UP社による差止請求権の行使は権利濫用であると主張していました。英国高等法院による第一審判決で敗訴したHuawei社が控訴したところ、英国控訴院は、主に以下の3つの判断を示した上でその控訴を棄却しました。
 第1に、英国控訴院は、効率性の観点からグローバル特許ポートフォリオに基づいた本件に係るグローバルライセンスをFRANDであるとする第一審判決を支持しました。なお、判決の最終的な結論に影響を与えないとしながらも、控訴審判決では、商業的な優先順位、関係者の知見および選好等によって、FRANDに該当するライセンス条件は複数存在し得ると認定され、当該ライセンス条件が一つのセットに定まるとした第一審判決とは異なる立場を示しています。
 第2に、英国控訴院は、Huawei社と類似した状況にあるSamsung社に対するライセンス条件が、Huawei社に対するライセンス条件とは異なる(Samsung社の方が低額のロイヤリティ料率)としても、そのことが直ちにFRANDに反する差別的な扱いとはいえないと判示しました。具体的には、英国控訴院は、類似した状況にある潜在的なライセンシーに対して、常に同一のロイヤリティ料率を提示しなければならないとする厳格なアプローチではなく、ライセンス条件が特許ポートフォリオの適切なベンチマークロイヤリティ料率を反映していれば、差別的な扱いとはならないとする第一審のアプローチを支持しました。
 第3に、英国控訴院は、UP社がグローバルライセンス条件をHuawei社が受諾しなかった場合に、UP社がHuawei社に差止請求権を行使することは権利の濫用には該当しないと判示しました。この点について、英国控訴院は、Huawei v ZTE判決(2015年)において欧州司法裁判所が定めた枠組み(SEP所有者が差止請求権の行使前に、侵害の疑いのある者に対して所定の通知を行う必要があること等)は、SEP所有者に安全な港(safe harbour)を提供するものであって、その枠組みが遵守されない場合でも権利の濫用か否かはすべての状況を踏まえて評価されるとの立場を示しています。

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No. 68, December 2018
JETROデュッセルドルフHP
[担当]深見特許事務所 勝本 一誠