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医薬品を不可欠な一部として含む医療機器への補充的保護証明書(SPC)規則の適用に関する欧州連合司法裁判所(CJEU)の予備的判決

 2018年10月25日、欧州連合司法裁判所(CJEU)は、医薬品を不可欠な一部として含む医療機器にSPC規則は適用されず、特許保護期間の延長は認められない旨の予備的判決を下しました(事件番号C‑527/17)。事件の概要は、以下のとおりです。
 ボストンサイエンティフィック社(以下「BS社」と称します)は、欧州特許681475号を有しています。この欧州特許は、血管形成術後の再狭窄を低減させるためにデザインされた医薬物質(タキソール)の使用に関連するものであり、そのクレーム8は、「拡張された血管内腔領域を維持するための、薬剤の準備のためのタキソールの使用。」というものです。BS社は、タキソールでコーティングされたステント(商品名「タクサス」)について、医療機器指令(93/42/EC)に基づく当局の承認を得た後、当該商品についてSPCによる特許期間の延長を求めました。
 CJEUは、以下の2つの理由により、医薬品を不可欠な一部として含む医療機器は、SPC規則に基づく保護の範囲外であり、特許保護期間の延長は認められない旨の予備的判決を下しました。第一の理由は、SPC規則に基づく保護の範囲を規定するSPC規則2条は、「医薬品(medicinal product)に対する医薬品指令(2001/82/EC, 2001/83/EC)に基づく当局の手続」と規定しており、医療機器指令(93/42/EC)に基づく当局の承認を要する、医療機器(当該医療機器の不可欠の一部として、当該機器の一部に当該機器に補助的な物質が含まれているもの)を文言上含まないためです。第二の理由は、SPC規則の3, 4, 8-10条に照らして、SPC規則の趣旨は、SPCの保護を「医薬品」に限定するというものであり、医療機器及び医療機器に補助的なものとして使用される物質にはSPCの保護が及ばないためです。
 EU加盟国間で分かれていた、医薬品を不可欠な一部として含む医療機器へのSPC規則の適用の判断が、今回のCJEUの判決によって統一されることになります。

[情報元]JETROデュッセルドルフHP、InfoCuria(CJEUの裁判例)HP
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史