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BREXIT後にEUTM及びRCDから生じるUK登録の登録番号採番

 英国知的財産局(UKIPO)は、BREXIT後の登録欧州連合商標及び意匠について保護を維持することを表明しました。すべての登録された欧州連合商標(EUTM)、共同体意匠(RCD)、EU指定の国際意匠及び国際商標について同等のUK登録を設ける制度が用意されました。この保護は、BREXITの交渉の結果や合意の成否に関わらずに認められます。
EU登録について
○対応する商標
 UKIPOがEU離脱に関するテクニカルノーティスにおいて示したように、登録されたEUTMごとに対応するUK商標が生み出されます。UKIPOは相当するUKの権利は下記のものであることを表明しました。
・EUTMの出願日を保持する。
・優先権やシニオリティは引き継ぐ。
・原EUTMからは完全に独立して取消、移転、許諾、更新される。
 対応するUK商標を特定し、かつ既存のUK登録商標と区別するために原EUTMの8桁の番号の前に「UK009」が付されます。
○再登録される意匠
 対応する登録意匠を特定し、かつ既存のUK登録意匠と区別するために原RCDの13桁の番号の前に「9」が付されます。
国際登録について
○国際意匠
 EU指定の国際意匠のUKの権利を維持するべく生み出されて再登録される権利を特定するために原国際登録番号の前に「8」が付されます。
○国際商標(EU)
 EU指定の国際商標登録において生じるUKの権利を特定するために、対応する権利の番号は、8桁の原国際登録番号の前に「UK008」が付されることになります。

 UKIPOとしては、上記採番方法によりBREXITの行政上の負担軽減を図る狙いがあります。

 このように、登録された欧州連合商標(EUTM)、又は共同体意匠(RCD)については、権利者の意思の如何に関わらず、BREXIT後に同等のUKの権利が発生し、これらの新たなUKの権利には直ちにかつ自動的に識別番号が付されることになります。新たなUKの権利が識別番号により特定されることで、商標であれば取消、無効の請求等、また意匠であれば無効の請求等の対象として特定され得ることになる一方で、当該新たなUKの権利には少なくとも権利発生当初は、これらの権利の維持・管理を担うUKの代理人が選任されていない状態となることが想定されますので注意を要します。

[情報元]MAUCHER JENKINS News -March 22, 2019
[担当]深見特許事務所 藤川 順