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中国 ハーグ協定への加盟

 WIPOは、中国が意匠の国際登録に関するハーグ協定に加盟することを決定したと発表しました。発効は、2022年5月5日です。日本、韓国、米国、英国等は既に加盟しており、これに中国が参加することにより、ハーグ協定には、世界の主要国の大半が加盟することになるといえます。
 2022年5月5日からは、中国以外の国のユーザは、中国において意匠の保護を受けるための新たな選択肢を得ることになります。同時に、中国の事業者や創作者にとっても、ハーグ協定の加盟94か国において意匠の国際的保護を求める簡便で迅速な手段が得られることになります。
 ハーグ協定では、締約国は、同協定の国際手続が国内の法律、規制、その他の要件に対応していることを担保するために、特定の宣言を発することが認められています。代表的なものとしては、米国の創作者による宣誓書又は宣言書の提出、韓国の特定の図面の要件、そしてロシアと米国によるセキュリティクリアランスの要件などが挙げられます。
 中国のハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定への加盟文書には、次の6つの宣言が含まれています。(1)意匠の特徴的な部分の簡単な説明、(2)個別指定手数料の設定、(3)意匠の単一性、及び意匠の特定の図面、(4)拒絶通報期間12か月、(5)国際登録の効力の6か月延長。(6)所有権の変更時の証明書類の提出。この加盟文書には、中国政府から別段の通知がない限り1999年改正協定は香港特別行政区またはマカオ特別行政区には適用されないことも明記されています。したがって、香港とマカオは、意匠に関しては引き続き別個の管轄区域となります。
 これらの中国による宣言は比較的に一般的な内容であるように思われますが、それらの詳細は要件については、国務院及びCNIPAが、中国特許法の実施に関する規則及び特許審査ガイドラインの改訂の形としては未だ最終決定していません。ご存知のように、ハーグ協定へ加入したとしても、個々の締約国が実質的な法的要件を変更することは求められません。したがって、中国を指定する国際出願は、関連する中国の法律及び規則その他のすべての要件に準拠する必要があります。この点に関しては、前述の中国の宣言のうちの特に(1)及び(3)、すなわち意匠の特徴の簡単な説明及び意匠の特定の図面に関する要件に留意する必要があると考えます。さらに、中国には、意匠の適格性及び1つの出願に含ませることができる類似意匠の数に関する要件もあります。これらの具多的な要件については、相当に詳細なものとなる可能性があります。このため、国際出願において中国を指定するにあたっては、国際出願が提出された後ではもはやこれらの特定の中国の要件に対応することはできない場合がありますので、国際出願をする前に中国の専門家に充分に助言を求めておくことをお勧めします。
 中国のハーグ制度への加入は、中国で保護を求める外国人デザイナーだけでなく、国際的な保護を求める中国の創作者にもよい選択肢となります。そして、この後に国務院とCNIPAが発する詳細なルールは、創作者と申請者がこの制度を十分に活用するための重要な基準となります。

[情報元]China_Sinda_Newsletter_2022-1
[担当]深見特許事務所  藤川 順