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(英国)Brexitが失敗した場合についての英国政府の見解

 いわゆる「Hard Brexit」となった場合の準備の一環として、英国政府は2019年3月に英国がEUとの合意形成がないままにEUを離れる場合、知的財産権がどのような影響を受けるかについての指針を発表しました。英国とEUとの間の合意が形成される可能性は十分にありますが、民間企業の備えを支援するために、英国政府が一連のテクニカルな通知の一部として提示しています。
 英国政府は、既存の登録された欧州連合商標及び共同体意匠については同等の実効性のある登録を確実に提供することを発表しました。英国における同等の商標または意匠の登録の付与は、行政上の負担が最小限のものとなります。登録された所有者には、英国の権利が付与されますが、オプトアウトする権利がある旨が通知されます。
 EUからの離脱時に係属中の欧州連合商標出願および共同体意匠出願については、政府は、出願人に離脱日から9ヶ月以内にEU出願の出願日を維持(優先権と予想されています。)した同じ内容の保護を請求できるオプションを提供します。これらの内容は、EUから出された英国の離脱合意草案の中で規定されている条項を反映しています。
 この9ヶ月間の間の英国の商標又は意匠出願は、英国での通常の費用と通常の出願プロセスの対象となることが明かにされています。
 マドリッドまたはハーグの制度を通じて登録または出願された商標および意匠に関して、英国政府は、既存の登録は継続的に保護し、係属中の出願のための「実用的な解決策」を模索するためにWIPOと協力するとの意向を表明しています。
 これは英国政府の肯定的な声明ですが、EUではない団体であるWIPOと連携することの複雑さが増すことで、特に係属中の出願事件の進行が遅滞するおそれがあります。したがって、この状況が明確になるまでは、これらのシステムを使用する場合には、出願戦略を慎重に検討した方がよいかもしれません。
 政府は、離脱日前に発生した未登録共同体意匠の権利は、残りの保護期間も引続き有効であることを発表しました。さらに、英国は、未登録共同体意匠の特徴を反映した「補助的な未登録意匠の権利」を提案しています。これは、今後の英国の未登録意匠に関する法律の下で表面装飾(例えば、平面ロゴ)を含む意匠の特徴を保護できるという意味で歓迎すべき提案です。

[情報元]D Young & Co IP Cases & Articles – September 25, 2018
[担当]深見特許事務所 藤川 順