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台湾商標登録出願において不専用の声明(いわゆるDisclaim)を必要としない事例について

 台湾商標法の規定によれば、商標登録出願時に提出した商標の図案に識別性を備えない部分が含まれる場合、出願人は、後に取得する商標専用権の範囲に疑義が生じることのないように、当該部分について不専用を声明しなければなりません(Disclaim制度)。ただし、商標見本中の識別性を備えない部分が具体的かつ明確で、疑義が生じるおそれのない場合には、出願時に不専用を声明する必要はありません。
 台湾商標において、識別性を備えない部分には、記述的文字又は図形、通用名称、通用標章又は用語などが含まれます。商標登録の出願対象となる商品又は役務には非常に多く種類があるため、審査官や出願人が、識別性を備えない部分のうちどのようなものが声明を必要とするのか或いは必要としないのかを判断できるように、知的財産局は2012年に「不専用の声明を必要としない例示事項」をまとめました。近年の台湾における商標登録出願件数の増加に伴い、2018年6月5日にこれまでの実務例を13項目にまとめ、「不専用の声明を必要としない例示事項」を改訂しました。

〈不専用の声明を必要としない例示事項〉

 

項目名

該当例(一部抜粋)

1

商品又は役務の通用名称

銀行、乳酸菌、ピザ、ステーキ、コーヒー、COSMETICSなど

2

商品又は役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性を示す文字

天然、格安、正統、バイオテクノロジー、オリジナル、美味、有機、老舗ブランド、プライベート、ナノ、珍味、クラシック、知能、グリーンエネルギー、BEST、FASHION、FRESH、NATURE、PERFECT、TECHNOLOGY(TECH)など

3

自身を標榜する説明用語

匠、巨匠、師匠、達人、職人など

4

商品、役務のデザインに関連する用語

ブランド、工芸、文化創意、和風、美学、製品、芸術、設計、SERIES、SYSTEM、COLLECTION、STYLE、PRODUCTなど

5

役務の提供方式/態様

宅配、マーケティング、チェーンストア、動画チャット、クラウド、インターネット、デジタル、オンライン、スマートフォン版、マルチメディア、INTERNET、ONLINE、NETなど

6

地理

台湾、艋舺、Parisなど

7

年代と時間

民国、西暦、歳次、24H、SINCE/ESTD+年代など

8

会社の種類を示す文字

有限会社、株式会社、Co.、Ltd、Corp.、Corporation、Inc.、LLCなど

9

事業複合体、事業組織又は事業性質/業務の種類を示す文字

エンジニアリング、工業、文教、文化創意、企業、グループ、グローバル、投資コンサルティング、協会、財団法人、物流、不動産、工業、事業、国際、マネジメントコンサルティングなど

10

商品又は役務の提供者、商店又は場所を示す文字

 

店、局、亭、苑、軒、院、堂、楼、家、センター、工房、老舗、本舗、果樹園、牧場、食府、茶屋、園区、事務所、専売店、リゾート山荘、オンラインストア、ショッピングサイト、芸術工房など

11

宗教及び民間信仰の標章又は用語

八卦図、太極図、卍図など;アーメン、ハレルヤ、南無阿弥陀仏など

12

通用標章

医療十字図、Rx 処方標章など

13

以上の例示事項の組合せ(説明性、識別性を備えない文字と商品又は役務名称との組合せ)

品質+地名又は製法+商品(高品質龍潭茶、天然手作り石鹸);成分+商品(草本クリーム)

 知的財産局が公布する例示事項は原則としてその全てで不専用の声明を必要としませんが、ケースによって、疑義が生じると認められる場合、出願人に説明を求める通知をした後で不専用の声明を必要とするかどうかを認定します。

[情報元]TAIWAN NEWSLETTER UNION PATENT SERVICE CENTER
August 31, 2018
[担当]深見特許事務所 原 智典