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EUIPO、EU登録意匠出願にWIPOのデジタルアクセスサービス(DAS)を利用可能に

 デジタルアクセスサービス(DAS)は、WIPOが運営する仕組みであり、WIPO加盟国の知財局が出願時に知的財産権の出願の写を効果的に電子的に共有できるようにするものです。この仕組みは、第1国で出願された最初の知的財産権の出願(特許、商標、又は登録意匠など)であって、第2国の出願の優先権主張の基礎となるものに使用されます。DASが利用できない場合、第1国出願に基づく優先権主張をするためには、優先権証明書を第2国の出願を処理する知財局に提出する必要があります。この点、DASを使用すると、第2国の知財局は、最初の出願の電子コピーを入手することができるので、優先権証明書を提出する必要はありません。
 これまでは、欧州連合知的財産庁(EUIPO)はDASについては、第1国出願の事務所としてのみ機能することができました。すなわち、EUIPOはEU登録意匠出願をDASにアップロードすることはできましたが、優先権主張されたEU登録意匠出願についてDASから優先権書類を取得することができませんでした。今般、EUIPOは、優先権主張されたEU登録意匠出願についてDASから優先権書類を取得できる限り、第2国の出願の知財局としても機能できるようになりました(第1国出願国がDASスキームに参加している限り)。
 EU登録意匠出願の優先権主張に関してDASスキームを利用したとしても、EUIPOの指定言語(英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語)のいずれか1つではない場合には、優先権書類の翻訳を提出しなくてもよくなるというものではないことに注意する必要があります。すなわち、EUIPOのいずれかの指定言語によるものでない優先権書類(例えば、日本の登録意匠出願)に関して翻訳文が提供されていない場合には、EUIPOはEUIPOの指定言語のいずれか1つの言語による訳文を提出するよう要求することができます。したがって、すでに優先権書類の訳文がある場合には、EUIPOからの局指令を未然に回避するためにEU登録意匠出願をするときにその訳文を提出しておくことが望ましいといえます。
 このEUIPOからの発表は、EU意匠登録システムのすべてのユーザに非常に歓迎されるものと思われます。そして、EUIPOは、最先端の意匠登録システムを継続的に提供していこうとする取り組み姿勢を明確に示しているといえます。

[情報元]D Young & Co IP Cases & Articles|September 14, 2020
[担当]深見特許事務所 藤川 順