国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第14号

「LED照明装置」事件

(知財高判令和5年1月23日 令和4年(行ケ)第10028号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、分割要件が争点となった事例。

(2)裁判所は、①親出願の当初明細書等の「発明が解決しようとする課題」欄及び「発明の効果」欄の記載のみにとらわれることなく、明細書及び図面の全ての記載事項に加え、出願時の技術常識を考慮して、分割出願の発明の課題を把握すべきである、②上記①によって、「発明が解決しようとする課題」欄に記載されていない課題が新たに認定される場合、請求項が、「発明が解決しようとする課題」欄に記載された課題に対応する技術的事項を含んでいなくても、新たに認定された課題に対応する技術的事項を含んでいれば、分割要件違反に当たらない、と判示した(特許庁審決を維持)。

国内裁判例レポート 2023年 第15号

「セボフルランの貯蔵方法」事件
(知財高判平成21年4月23日 平成18年(ネ)第10075号)
(知財高判平成22年1月19日 平成20年(行ケ)第10276号)
(1)特許権侵害訴訟において、クレームにおける「ルイス酸抑制」の用語の意義が明細書等の記載を参酌して限定解釈され、関連の審決取消訴訟において、分割要件違反、実施可能要件違反が指摘された事例。
(2)「ルイス酸抑制」の具体例として、明細書には「化学的中和による抑制」の開示しかないことが問題とされた。「物理的遮断による抑制」(被告方法)とのメカニズムの違いが争点化された。
(3)クレーム拡張型分割出願の参考事例。