国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第12号

「笠木下換気構造体」事件
(知財高判令和7年5月21日 令和6年(ネ)第10080号)
原審(大阪地裁令和5年(ワ)第8403号)

 

概要

(1)特許侵害訴訟において、本件発明の構成要件「通気性能および防水性能を発揮する換気部材」の解釈が争点となった事例。
(2)裁判所は、上記構成要件は、「換気部材」自体が「通気性能及び防水性能」を有することを要すると解されるとして、被控訴人製品の構成要件充足性を否定した(原判決を支持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第11号

「地球グミ」事件
(知財高判令和5年12月26日 令和5年(行ケ)第10079号)

 

概要

 第三者が出願したブランドの俗称について、商標法第4条第1項第10号該当性を認め、商標登録を無効とした事例。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第10号

「AWG治療」事件
(知財高判令和6年11月11日 令和6年(行ケ)第10028号)

 

概要

(1)指定商品・役務の類否が争点となった無効審判請求不成立審決に係る取消訴訟事例。
(2)指定商品・役務の取引の実情を踏まえて商品・役務類似と結論づけた(審決取消し)。
(3)商品・役務に関する非類似の推定を覆した一例として参考になり得る事例。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第9号

「情報処理端末」事件
(知財高判令和6年11月13日 令和6年(行ケ)第10023号)

 

概要

(1) 審決取消訴訟にて、拒絶査定不服審判の審決での補正却下の適否が争点となった。

(2)「特許請求の範囲の減縮に該当しない」として補正を却下した審決が、取り消されるべきものと判断された。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第8号

「電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジ」事件

(知財高判令和7年4月10日 令和6年(ネ)第10074号)

 

概要

(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「切込み」の解釈が争点となった事例。

(2)裁判所は、本件発明の「切込み」は、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味し、捲縮加工工程における捲縮条件を制御することにより形成された筋状部分はこれにあたらないとして、被告製品の構成要件充足性を否定した(原判決を支持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第7号

「ビークル」事件

(知財高判令和7年3月24日 令和6年(行ケ)第10049号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。

(2)裁判所は、引用発明の車両を周知の「リーン姿勢で旋回可能に構成された車両」とする動機付けがないから、本件発明は進歩性を有する判断した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第6号

「多角形断面線材用ダイス」事件

(知財高判令和7年2月27日 令和6年(行ケ)第10013号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、訂正の許否(新規事項の追加)が争点となった事例。

(2)裁判所は、本件訂正事項は、本件明細書の当初記載事項との関係で新たな技術的事項を導入するものであるから、本件訂正は認められないと判断した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第5号

「豊胸用組成物」事件

(知財高判令和7年3月19日 令和5年(ネ)第10040号)

 

概要

(1)損害賠償請求控訴事件において、本件特許発明の産業上の利用可能性が認められるか、及び調剤行為の免責規定が適用されるかが争点となった事例。

(2)裁判所は、本件特許発明は、「産業上利用することができる発明」に当たらないとはいえず、また、「人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物」と認めることはできない、と判断した。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第4号

「自動二輪車のブレーキ制御装置及び挙動解析装置」事件

(知財高判令和7年1月15日 令和6年(ネ)第10038号)

 

概要

(1)原審(不当利得返還等請求事件)にて、本件発明がサポート要件違反により無効にされるべきものとして原告の請求が棄却された事件の控訴審。
(2)控訴人は、原審にて「誤記」を理由に本件特許の請求項及び明細書の訂正を請求したが、裁判所は、「誤記」とは認められないとして訂正の請求を認めず、控訴を棄却した(原判決を支持)。
(3)「誤記の訂正」を目的として明細書等を訂正するに際しての参考事例。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第3号

「電子患者介護用のシステム」事件

(知財高判令和6年11月27日 令和6年(行ケ)第10005号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、明確性要件が争点となった事例。

(2)特許庁の審決において明確性要件を欠くとされた「トランザクション・ベースのウェブ・サービス」といった事項について裁判所は、技術常識を参酌し、明細書中にこれらの用語の具体的な説明がなくとも第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないと判断し、本件発明の明確性を肯定した(特許庁審決を取消)。

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