国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例レポート 2023年 第15号

「セボフルランの貯蔵方法」事件
(知財高判平成21年4月23日 平成18年(ネ)第10075号)
(知財高判平成22年1月19日 平成20年(行ケ)第10276号)
(1)特許権侵害訴訟において、クレームにおける「ルイス酸抑制」の用語の意義が明細書等の記載を参酌して限定解釈され、関連の審決取消訴訟において、分割要件違反、実施可能要件違反が指摘された事例。
(2)「ルイス酸抑制」の具体例として、明細書には「化学的中和による抑制」の開示しかないことが問題とされた。「物理的遮断による抑制」(被告方法)とのメカニズムの違いが争点化された。
(3)クレーム拡張型分割出願の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第8号

「流体供給装置」事件
(知財高判令和3年6月28日 令和2年(ネ)第10044号)
(1)特許権侵害訴訟において、「記憶媒体」の用語の意味が争点となった事例。
(2)控訴審(知財高裁)において、明細書における「課題」の記載を参酌し、「媒体預かり」と「後引落し」との組合せによる決済を想定できない記憶媒体(非接触式ICカード)は本件発明の「記憶媒体」には当たらないと判断された(原審において、この点は争点化されていなかった)。
(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第7号

「液体を微粒子に噴射する方法とノズル」事件
(知財高判令和2年5月27日 平成30年(ネ)第10016号)
(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「微粒子」の用語の意味が争点となった事例。
(2)原審は本件発明の「微粒子」を「10μm以下の液滴」と解釈して非侵害と判断したが、控訴審は「小さな粒子径の粒子を意味するものであって、粒子径の数値範囲に限定はない」と解釈して侵害と判断した(原審の判断を覆した)。
(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。