国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第7号

「経皮的分析物センサを適用するためのアプリケータ」事件
(知財高判令和6年1月22日 令和5年(行ケ)第10024号)
(1)審決取消訴訟において、新規性判断が争点となった事例。
(2)特許庁の審決において引用文献に開示されているとされた本願の発明特定事項「作動部材」について、引用発明の認定に誤りがあると判断し、裁判所は本件発明の新規性を肯定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第4号

「車両ドアのベルトラインモール」事件
(知財高判令和5年7月25日 令和4年(行ケ)第10111号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性判断が争点となった事例。
(2)特許庁の審決においては容易に想到し得ないとされた相違点に係る構成について、当業者が適宜なし得る設計的事項であると判断し、本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第35号

「立坑構築機」事件
(知財高判令和2年3月24日 令和元年(行ケ)第10102号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、引用発明1に引用発明2を適用することについて阻害要因があるから、本件発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例レポート 2023年 第33号

「簡易蝶ネクタイ」事件
(知財高判令和2年3月19日 令和元年(行ケ)第10097号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、引用発明1と甲4発明とは、発明の課題や作用・機能が大きく異なるから、甲4に記載された構成の一部のみを取り出し、これを引用発明1の一部の形状として採用することは、当業者が容易に想到できたものであるとは認め難く、むしろ阻害要因があるといえると判断した(特許庁の審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第28号

「美容器」事件
(知財高判令和2年1月27日 令和元年(行ケ)第10090号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、甲1発明に甲2技術事項を適用して、甲1発明を相違点1~3に係る構成を有するものとすることはできないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例レポート 2023年 第27号

「平底幅広浚渫用グラブバケット」事件
(知財高判令和2年6月11日 令和元年(行ケ)第10077号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)原告は、相違点6が実質的な相違点ではないと主張したが、裁判所は、相違点6は実質的な相違点であり、かつ引用発明に基づいて容易に想到できたとはいえないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例レポート 2023年 第21号

「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」事件
(知財高判令和5年4月20日 令和4年(行ケ)第10098号)
(1)審決取消訴訟において、新規性および進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)裁判所は、「直後方」の限定を考慮し、甲1発明に対する本件発明1の新規性および進歩性を肯定した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例レポート 2023年 第18号

「空調服の空気排出口調整機構」事件
(知財高判令和5年2月7日 令和4年(行ケ)第10037号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)技術分野の関連性および課題の共通性を考慮して、主引用発明(公然実施発明)に接した当業者は、副引用発明を採用するように動機付けられたものと認めるのが相当として、本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第5号

「耕耘爪」事件
(知財高判令和4年12月22日 令和4年(行ケ)第10027号 )
(1)審決取消訴訟において、他の争点とともに、明確性要件が問題とされた事例。
(2)請求項中の「『略』一定の距離」、「『略』同じ位置」との文言について、本件発明の技術分野(その性質上要求される精度の観点)及び明細書等の記載を参酌して、発明は明確であると判断した(特許庁審決の判断を支持)。
(3)「略」のほか、「約」、「およそ」、「実質的に」、「本質的に」等の文言が請求項中に含まれる特許の明確性要件を評価するにあたって1つの参考になる事例。

国内裁判例レポート 2023年 第4号

「多角形断面線材用ダイス」事件
(知財高判令和4年11月16日 令和4年(行ケ)第10019号 )
(1)審決取消訴訟において、明確性要件が問題とされた事例。
(2)請求項中の「『略』多角形」との文言について、本件明細書等の記載および技術常識を考慮しても、「基礎となる多角形断面」と区別ができないとして、発明が不明確であると判断した(特許庁審決の判断を否定)。
(3)「略」のほか、「約」、「およそ」、「実質的に」、「本質的に」等の文言が請求項中に含まれる特許の明確性要件を評価するにあたって1つの参考になる事例。