国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2026年 第2号

「トイレットロール、ロール製品パッケージ」事件

(知財高判令和7年10月8日 令和6年(ネ)第10069号)

 

概要

(1)特許権侵害訴訟において、本件特許の「エンボス深さ」及び「エンボスパターンの深さ」の用語の技術的意義及び数値範囲充足性が主な争点となった事例。

(2)本件明細書にエンボス深さの測定方法が記載されているのであるから、本件発明の解決課題等から導かれる技術的意義を根拠として本件明細書に記載の方法と異なる方法を用いるべきと解することはできないとして控訴人(原告)の主張を否定した。

国内裁判例・審決例レポート 2026年 第1号

「撮像装置」事件

(知財高判令和7年5月15日 令和5年(行ケ)第10121号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、サポート要件、明確性要件、実施可能要件が争点となった事例(本稿では、サポート要件の一部争点に関する判断のみ検討)。

(2)裁判所は、特許請求の範囲の記載はサポート要件に違反しないと判断し、原告の請求を棄却した(特許庁審決を維持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第16号

「熱可塑性樹脂組成物」事件

(知財高判令和7年3月4日 令和6年(ネ)第10026号)

 

概要

(1)「分子量700以上」との構成を有する数値限定発明について、文言侵害および均等侵害の成否が議論された事例。

(2)「分子量が699.91848」である被控訴人製品ないし方法について、裁判所は、文言侵害の成立を否定するとともに、均等論の第1要件(非本質的部分)は充足するものの、第5要件(意識的除外等の特段の事情)を充足しないとして、均等侵害の成立も否定した。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第14号

「LED照明装置」事件

(知財高判令和5年1月23日 令和4年(行ケ)第10028号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、分割要件が争点となった事例。

(2)裁判所は、①親出願の当初明細書等の「発明が解決しようとする課題」欄及び「発明の効果」欄の記載のみにとらわれることなく、明細書及び図面の全ての記載事項に加え、出願時の技術常識を考慮して、分割出願の発明の課題を把握すべきである、②上記①によって、「発明が解決しようとする課題」欄に記載されていない課題が新たに認定される場合、請求項が、「発明が解決しようとする課題」欄に記載された課題に対応する技術的事項を含んでいなくても、新たに認定された課題に対応する技術的事項を含んでいれば、分割要件違反に当たらない、と判示した(特許庁審決を維持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第13号

「ワクチンアジュバントの製造の間の親水性濾過」事件(知財高判令和6年3月25日 令和5年(行ケ)第10056号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。

(2)裁判所は、主引用発明に、優先日当時の市販製品が備える膜を用いて濾過を行うという周知技術を適用することは容易想到であると認定し、また、本件明細書中の比較対象に基づくデータを考慮すると本件発明の効果は顕著なものであったとは評価できないとして、本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第12号

「笠木下換気構造体」事件
(知財高判令和7年5月21日 令和6年(ネ)第10080号)
原審(大阪地裁令和5年(ワ)第8403号)

 

概要

(1)特許侵害訴訟において、本件発明の構成要件「通気性能および防水性能を発揮する換気部材」の解釈が争点となった事例。
(2)裁判所は、上記構成要件は、「換気部材」自体が「通気性能及び防水性能」を有することを要すると解されるとして、被控訴人製品の構成要件充足性を否定した(原判決を支持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第9号

「情報処理端末」事件
(知財高判令和6年11月13日 令和6年(行ケ)第10023号)

 

概要

(1) 審決取消訴訟にて、拒絶査定不服審判の審決での補正却下の適否が争点となった。

(2)「特許請求の範囲の減縮に該当しない」として補正を却下した審決が、取り消されるべきものと判断された。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第8号

「電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジ」事件

(知財高判令和7年4月10日 令和6年(ネ)第10074号)

 

概要

(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「切込み」の解釈が争点となった事例。

(2)裁判所は、本件発明の「切込み」は、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味し、捲縮加工工程における捲縮条件を制御することにより形成された筋状部分はこれにあたらないとして、被告製品の構成要件充足性を否定した(原判決を支持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第7号

「ビークル」事件

(知財高判令和7年3月24日 令和6年(行ケ)第10049号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。

(2)裁判所は、引用発明の車両を周知の「リーン姿勢で旋回可能に構成された車両」とする動機付けがないから、本件発明は進歩性を有する判断した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第6号

「多角形断面線材用ダイス」事件

(知財高判令和7年2月27日 令和6年(行ケ)第10013号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、訂正の許否(新規事項の追加)が争点となった事例。

(2)裁判所は、本件訂正事項は、本件明細書の当初記載事項との関係で新たな技術的事項を導入するものであるから、本件訂正は認められないと判断した(特許庁審決を取消)。