国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第6号

「多角形断面線材用ダイス」事件

(知財高判令和7年2月27日 令和6年(行ケ)第10013号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、訂正の許否(新規事項の追加)が争点となった事例。

(2)裁判所は、本件訂正事項は、本件明細書の当初記載事項との関係で新たな技術的事項を導入するものであるから、本件訂正は認められないと判断した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第5号

「豊胸用組成物」事件

(知財高判令和7年3月19日 令和5年(ネ)第10040号)

 

概要

(1)損害賠償請求控訴事件において、本件特許発明の産業上の利用可能性が認められるか、及び調剤行為の免責規定が適用されるかが争点となった事例。

(2)裁判所は、本件特許発明は、「産業上利用することができる発明」に当たらないとはいえず、また、「人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物」と認めることはできない、と判断した。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第4号

「自動二輪車のブレーキ制御装置及び挙動解析装置」事件

(知財高判令和7年1月15日 令和6年(ネ)第10038号)

 

概要

(1)原審(不当利得返還等請求事件)にて、本件発明がサポート要件違反により無効にされるべきものとして原告の請求が棄却された事件の控訴審。
(2)控訴人は、原審にて「誤記」を理由に本件特許の請求項及び明細書の訂正を請求したが、裁判所は、「誤記」とは認められないとして訂正の請求を認めず、控訴を棄却した(原判決を支持)。
(3)「誤記の訂正」を目的として明細書等を訂正するに際しての参考事例。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第3号

「電子患者介護用のシステム」事件

(知財高判令和6年11月27日 令和6年(行ケ)第10005号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、明確性要件が争点となった事例。

(2)特許庁の審決において明確性要件を欠くとされた「トランザクション・ベースのウェブ・サービス」といった事項について裁判所は、技術常識を参酌し、明細書中にこれらの用語の具体的な説明がなくとも第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないと判断し、本件発明の明確性を肯定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第2号

「微細結晶」事件

(知財高判令和5年7月13日 令和4年(行ケ)第10064号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。

(2)裁判所は、進歩性に関し、甲1結晶発明に相反する周知技術(相違点1、2)を敢えて採用することは当業者が容易に発明をすることができたものではないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例・審決例レポート 2025年 第1号

「携帯端末の遠隔操作用デバイス」事件

(知財高判令和5年12月5日 令和5年(行ケ)第10011号)

 

概要

(1)審決取消訴訟において、進歩性が争点となった事例。

(2)裁判所は、引用発明において周知技術を用いることで、当業者が容易に発明をすることができたものとして本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を維持)。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第20号

「Tibetan Tiger」事件ほか

(知財高判令和6年4月17日 令和5年(行ケ)第10114号)ほか2件

 

概要

 

(1)出願商標(「Tibetan Tiger」、「Nepal Tiger」、「Tibet Tiger」)の識別力の有無が争点となった拒絶審決取消訴訟事例。

(2)商標の識別力の有無の判断における取引実情の重要性を再認識させる事例。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第19号

「5-アミノレブリン酸リン酸塩」事件

(知財高判令和6年3月27日 令和5年(ネ)第10086号)

原審(東京地方裁判所 令和4年(ワ)第9716号)

概要

(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「5-アミノレブリン酸リン酸塩」の技術的範囲が争点となった事例。

(2)控訴人による本件発明の「5-アミノレブリン酸リン酸塩」は、単離された純粋な化合物、又は発明者が現実に発明した製造方法によって製造された物に限定されるべきであるとの主張に対し、控訴審はいずれにも限定されないと判断した。

(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第18号

「Pleasure」事件

(知財高判令和6年1月30日 令和5年(行ケ)第10018号)

 不使用取消審決に対する審決取消訴訟において、出訴期間内に訴訟提起されたか(争点1)、及び訴訟段階で新たに提出された使用証拠の適否(争点2)が争われた事例。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第17号

「防眩フィルム」事件
(知財高判令和5年11月30日 令和4年(行ケ)第10109号)

(1) 審決取消訴訟において、明確性要件、サポート要件、実施可能要件に関する判断の誤りが争点となった事例(本稿では、実施可能要件に関する判断のみ検討する。)。
(2) 裁判所は、複数の実施形態に係る記載その他の本件明細書の記載を併せ考えれば、実施可能要件を満たすとして、実施可能要件違反とした特許庁における取消決定の判断を覆した。

投稿タグ一覧