国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例レポート 2023年 第6号

「個人情報に基づいてユーザに注意を促す、情報処理装置」事件
(知財高判令和4年11月29日 令和3(行ケ)10027号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性が争点となった事例。
(2)相違点の容易想到性を否定する特許庁審決の判断が支持された。
(3)サービス提供のための処理をサーバを含むシステム全体で行うか単独のユーザ端末で行うかの相違に基づいて、設計的事項ではないとして進歩性を主張する際の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第5号

「耕耘爪」事件
(知財高判令和4年12月22日 令和4年(行ケ)第10027号 )
(1)審決取消訴訟において、他の争点とともに、明確性要件が問題とされた事例。
(2)請求項中の「『略』一定の距離」、「『略』同じ位置」との文言について、本件発明の技術分野(その性質上要求される精度の観点)及び明細書等の記載を参酌して、発明は明確であると判断した(特許庁審決の判断を支持)。
(3)「略」のほか、「約」、「およそ」、「実質的に」、「本質的に」等の文言が請求項中に含まれる特許の明確性要件を評価するにあたって1つの参考になる事例。

国内裁判例レポート 2023年 第4号

「多角形断面線材用ダイス」事件
(知財高判令和4年11月16日 令和4年(行ケ)第10019号 )
(1)審決取消訴訟において、明確性要件が問題とされた事例。
(2)請求項中の「『略』多角形」との文言について、本件明細書等の記載および技術常識を考慮しても、「基礎となる多角形断面」と区別ができないとして、発明が不明確であると判断した(特許庁審決の判断を否定)。
(3)「略」のほか、「約」、「およそ」、「実質的に」、「本質的に」等の文言が請求項中に含まれる特許の明確性要件を評価するにあたって1つの参考になる事例。

国内裁判例レポート 2023年 第3号

「吹き矢に使用する矢」事件
(知財高判令和4年11月16日 令和4年(行ケ)第10021号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性が争点となった事例。
(2)主引例における示唆ないし動機付けの不存在と、阻害要因の存在を認めて本件発明の進歩性を肯定した(特許庁審決の判断を支持)。
(3)引用発明の組み合わせの容易想到性を否定して進歩性を主張するに際しての参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第2号

「レーザ加工装置」事件
(知財高判令和4年11月29日 令和3年(行ケ)第10163号 )
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)取消事由2(甲15を主引用例とする進歩性の判断の誤り)について、溝が形成された基板を開示する先行技術が存在する場合に、溝が形成されていない基板を採用する動機付けがないから、相違点に係る構成とすることを容易に想到できないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。

国内裁判例レポート 2023年 第1号

「はんだ合金」事件
(知財高判平成30年2月14日 平成29年(行ケ)第10121号 )
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)取消事由1について、引用発明1及び4における必須成分であるニッケルを任意成分とし、相違点1及び3に係る構成を備えることは、当業者が容易に想到し得るものではないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。